八木沼純子はフィギュアの奥深さを
14歳で知った。見惚れた女王の演技

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • photo by AFLO

 もうひとつ紹介したいのは、同じくカルガリー五輪のアイスダンスで金メダルを取ったナタリア・ベステミアノワ&アンドレイ・ブーキン組(ソ連)が演技したオリジナルセットパターンダンスの『タンゴ』です。炎の燃え上がるような、鬼気迫る、迫力満点の格好いいアイスダンスだったのが、印象に残っています。

 なぜ、あれほどのすばらしい演技が生まれたのか。その背景には、前回大会のサラエボ五輪で、伝説のプログラムと言われる『ボレロ』を踊ったジェーン・トービル&クリストファー・ディーン組との金メダル争いに敗れて銀だったことがあります。その後は世界選手権ですべて金メダルを獲得。満を持してやってきたカルガリーの演技は、「必ずや金メダルを自分たちの手に!」という熱い気迫が感じられました。

 いまカルガリー五輪を振り返ってみると、シングルはじめ、4種目ともに、ダイナミックで華やかな技巧派の選手が多かったように思います。

八木沼純子
1973年4月1日、東京都生まれ。世界ジュニア選手権で準優勝すると、14歳でカルガリー五輪に出場した。その後は全日本選手権準優勝、世界選手権11位など。1995年、プロに転向。解説者、キャスターとしても活動中。

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