本田武史が衝撃を受けたプログラム。
「競技なのにショーみたい」

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • photo by AFLO

 そういった意味でも『カサブランカ』はカートさんの良さを引き出したプログラムだと言えます。カートさんにはクラシックな映画のサントラ音楽を使うイメージがありました。

 僕が憧れて影響を受けたカート・ブラウニングさんには、2003年のショートプログラム(SP)、『レイエンダ』を作ってもらっているんです。何度もアイスショーで一緒に滑り、いろいろアドアイスをもらい、カナダでもずっと一緒に練習したりしていました。2002年と2003年のシーズンは、月一でスケートのレッスンをしてもらったりしていました。

 いまもオリンピックの解説などでよく会うんですけど、すごく仲良くしてもらっています。いつも明るくてすごくポジティブな人です。カートさんには、顔の使い方や脚さばきで、彼にしかできないものがありました。だからプログラムを作ってもらったときは、予想外の動きが多くて、何回も転びました。

 カートさんからは、彼の真似をするのではなく、「そこから学んだことを自分のプラスアルファにしていくほうがいい」と、よく言われていました。「真似はどうしても真似で終わってしまうから」と言ってくれていました。『レイエンダ』もそうでしたけど、カートさんが作ってくれたプログラムを、自分がどう表現するかで、いろいろな人に覚えてもらえるものになる。僕にとってすごくプラスになった部分だと思います。

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