本田武史が衝撃を受けたプログラム。「競技なのにショーみたい」 (3ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • photo by AFLO

 6点満点だったルールのもとで行なわれたあの時代のフリープログラムは、自由度が高かったので、スケーターの個性があふれていたように思います。当時と比べたら、現行のジャッジングシステム下でのプログラム作りは、全然違うプロセスになっているのかもしれませんね。

 いまと違って、難しいステップが入っているわけではないんですけど、プログラムとしてのストーリー性がしっかり表現できていたように思います。カートさんの『カサブランカ』しかり、フィリップ・キャンデロロ(フランス)さんの『ゴットファーザー』しかり。映画のワンシーンを氷上でやれた面白味がすごくあったと思います。

 プログラムの選曲についても、人それぞれの選手の個性を生かした時代だったと思います。たとえば、ロシアのアレクセイ・ウルマノフだったらクラシックバレエを重視した選曲だったり、エルビス・ストイコ(カナダ)なら彼らしいキレとスピード感のある選曲だったり、本当に「このスケーターのこのプログラムはすごいな」というのが多かった。キャンデロロさんにしても『三銃士』や『ゴットファーザー』は彼にしかできないプログラムだったと思います。

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