中野友加里が語る女子4回転時代の技術。「次元が違うジャンプ」とは (3ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • 中村博之●写真 photo by Nakamura Hiroyuki

 ただしそのジャンプは、跳び上がるのと同時に回り始める、もっと言えば、回りながら跳び上がるようなところがあります。いい悪いは別として、それを身につければ4回転を回り切れる可能性は高くなります。逆に判定でそれを「回転不足」と厳しく取られるようになると、何らかの対応をしなければならなくなるでしょう。

 それに対して、アリョーナ・コストルナヤ選手のトリプルアクセルは、次元が違います。4回転が入らないショートプログラムでの群を抜いた高得点にそれが表われていますが、高さ、幅、回転速度が、すべて理にかなっている。それをいとも簡単に跳ぶことができるというのは、天性の才能だと思います。

 彼女に関して言えば、そのスピードにも衝撃を受けました。プログラム全体でスピードに乗りっぱなしで、こんな女子選手は昨今、見たことがありません。才能をうまく生かしたスケーティングの質です。ジャンプをしても失速することがないので、流れを壊さずに、トリプルアクセルをプログラムの一部として跳ぶことができています。ライバルが4回転を跳んでも勝てるだけのものを持っているのです。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る