笑顔を取り戻した本田真凜。
見出した「復活への足掛かり」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

Never give up! 
日本フィギュアスケート2019-2020総集編(6)

 2019-2020シーズンも、氷上で熱戦を繰り広げた日本人スケーターたち。シニア入りしてからずっと、辛酸をなめてきた本田真凜にとっては、復活への光が見えた1年だった。眩いばかりの笑顔と一緒に、かつての輝きを取り戻しつつある"天才少女"の内面で起こった変化とは――。

復調へのきっかけをつかんだ本田真凜復調へのきっかけをつかんだ本田真凜 2019-2020シーズンに向けたインタビューだった。本田真凜(18歳)は、競技の話から脱線すると、10代特有のあどけなさを露わにした。

――アメリカでの食事は?

「自炊です。日本でも(料理は)好きでするんです。最初は、全部を自分の自由にできるので、結構楽しくてやっていました。ただ、アメリカは食材が違うし......。実は日本のスーパーがあって、そこでおいしそうなお惣菜を見つけると、思わず買ってしまって」

 そう言って悪戯っぽく笑う姿が、本田の素顔なのかもしれない。

「(以前は)試合が終わったら、家族みんな一緒に、ご褒美で焼き肉を食べに行く、ということをしていたんですが、その次の日に、とても調子がよかったんです。それなら、試合の1、2日前に焼き肉を!って。試合の前に食べるようになりました。海外だと、なかなか行けないんですけど。バーベキューやステーキはあるんですけど、焼き肉とは違うんです」

 食事について語りだすと、少女の闊達さが出た。

 しかし、競技者としての本田は、大人にならざるを得なかった。

「17歳(当時)は、スケーターとしては若くはないです」

 彼女はそう言って、小さく笑みをこぼした。

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