SP首位。羽生結弦は2年ぶりでも「自分の体が覚えている」と信じていた (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 さらに演技構成点も、すべてのジャッジが5項目すべてで9.50点から10.00点を並べる高い評価で48.40点を獲得。合計は世界最高得点を上回る111.82点と、納得できるものだった。

 羽生は「できれば112点までいけるようにと思っていましたが、あと0.2点というのは誤差というか、ついたりつかなかったりする点数だと、自分の中では今回は思っているので。いつでもその0.2点を超えられるような、いい演技をできる準備をしていきたいなと思います」と話す。

「とにかくいちばん良かったなと思うのは、ジャンプとかステップなどで、『ここは何回回って』とか『ここを注意して』というのが全然なかったこと。自分の中ではもう、何の雑音もなく滑り切れたし、最後に音が終わって手を下ろすまでつなげられたというのが、いちばん心地よかったな、という気持ちでいます」

「こんなに気持ちよく滑れたのは久しぶりです。本当にこれまでのバラード第1番の中で、いちばん良かったんじゃないかなと自分で思っています」と言う自身の言葉どおり、これまで以上に静かなピアノの音に敏感に反応してそれをそのままジャンプや滑りで表現し、曲調が高まる中ではそれに自分の感情を乗せるような圧巻の滑りだった。

「やっぱり『オトナル(秋によせて)』をやったからこその表現の仕方とか、深みもとれたと思いますし、何より曲を感じることをしながらも、すごくクオリティの高いジャンプを跳べたということは、何かこのプログラムならでは、という感じもします」

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