髙橋大輔は、不安と希望が混在する第2のスケート人生でも全力だ (2ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 そして髙橋はアイスダンサーとして、もうひとつの世界を開拓する人生を選んでいる。

「初めて(村元とカップルを)組んでのスタートで。なるべく早く、カップルになれるように。まだまだバラバラなところがあるので、少しでもマッチするように頑張ります」

 そう語った髙橋は、この日のアイスショーで村元とアイスダンスを滑っている。ただ、本人が「どうなるか、まだ想像もできない」と話すように、新たな世界に入る扉のノブに手をかけたところだろう。本格的なトレーニングは、アメリカで2月からだ。

「(アイスダンスは)課題しかないです」

 髙橋は小さく息を洩らした。

「たぶん、まだアイスダンスに慣れていないです。シングルの癖も抜けきっていない。ユニゾンも全然合っていないし。ダンスの足さばきもできていません。足のラインだったり......。色々これからですね。これからアメリカのコーチのアドバイスを聞いたり、もちろん哉中ちゃんもアイスダンスでは先輩なので。できる範囲で、精いっぱいやっていきたいです」

 一からのスタートだ。

「今までひとりでやってきたので。自分の思いだけでなく、ふたりでやっていく、という気持ちの面でまず違う。まずは、そこから変えていく必要があると思います。誰かと気持ちをすり合わせる......。日々を一緒に過ごして物事を進めた経験もほとんどないので。メンタルのところからですね。そのうえで、テクニックや表現を。まずはお互いをよく知ることが、最初の段階になるかなと」

 髙橋は律儀に説明した。

「(ショーでは世界的アイスダンサーとの共演で)めちゃくちゃアドバイスはもらえました! チャーリー(・ホワイト)、メリル(・デイビス)からはテクニックのこと、腕の組み方や力の伝え方、ベン(・アゴスト)からはしゃがんでやるところのコツとか、細かいところをたくさん教えてもらって」

 髙橋は、楽しそうに言った。アイスダンスに真剣に向き合うことで、新天地を作り出すだろう。彼はいつだって、全力だ。

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