紀平梨花vsロシア。コストルナヤ、シェルバコワ、トゥルソワにどう対抗? (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 今後、シェルバコワが4回転などの精度を上げてきたり、アレクサンドラ・トゥルソワがすべてのジャンプを揃えてくればさらなる高得点を出してくる可能性はある。ただ、当面、紀平がターゲットとすべきはGPファイナルでコストルナヤが出している「247.59点」となるだろう。

 その点ではSPでの絶対条件は、連続ジャンプを基礎点が1.1倍になる後半に持ってくることだ。それはロシアの3人が難なくやっていることでもある。紀平の連続ジャンプは3回転フリップ+3回転トーループだが、それができればコストルナヤと競り合えるようになる。演技構成点も、SPで83.97点を出した世界国別対抗の時は35.80点で、コストルナヤのファイナルの35.97点とは僅差。あとはGOE加点の差まで持ち込める。

 そしてフリーでは3回転ルッツ2本を入れられるだけでも、フリップ2本でルッツが1本のコストルナヤをわずかに上回る計算になり、4回転サルコウが入ればさらに基礎点は高くなり、完璧に滑れば数字的には250点超えも可能になってくる。

 トゥルソワがファイナルで「4回転ループの導入も視野に入れている」と話していたように、現在の高難度ジャンプ合戦はさらに激化する可能性もある。

 ただ、いま紀平に必要なのは、まずは3回転ルッツが跳べるようにケガを治して、4回転サルコウを入れた構成の精度を上げること。そして、世界選手権に向けてしっかりと体調のピークを合わせることだ。

 今季の女子フギュアスケートを席巻するロシアの3人に、世界で唯一対抗できる存在であることを、紀平には3月の世界選手権で証明してもらいたい。

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