羽生結弦、チェンとの戦いは「楽しみながら強くなっていきたい」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

「40点差と言われると『何本ジャンプを跳べばいいんだ?』という感じにはなるけど、今の採点方法が、細かいミスを続ければ続けるほどGOEの差がどんどん開いていって大きな差になる。降りたジャンプはたくさんあったし、とくに4回転ループと4回転ルッツに関してはかなり加点をもらっていたので、あとはきれいに降りるだけかなという感じもしています。

 それに、自分にとっては大きな得点源であるトリプルアクセルが(今回のフリーの演技に)入っていないということも、ものすごく大きい。あの構成をしっかり決めていれば、あとはショートでミスをすることなくもうちょっと得点を上げていれば、勝負になると思った。だから、そこは点数ほどの差は感じていないんです。

 ただ、それを試合でコンスタントにできるかと言えば別の話。それができるようになるには相当の努力をしなければいけないし、たぶんそれはネイサン選手もたどってきた大変な道だと思うので。自分自身もそれを最短のコースで、効率よくたどり着けるように練習しなければいけないと思います」

 羽生本人が今回の自身の演技を「ジャンプ大会のようだった」と表現したように、丁寧ではあっても少し抑えた滑りにしてステップがレベル3になったように、GOE加点も低かった。終盤のコレオシークエンスとスピン2本のGOE加点はスケートカナダより0.21点減。さらにスケートカナダではGOE加点を加えて20.90点にしていた4回転トーループ+1Eu+3回転フリップも、フリップの回転不足で13.35点と落ち込み、トリプルアクセルからの連続ジャンプで合計27.53点稼いでいた最後の2本のジャンプも、4回転トーループ+2回転トーループと、パンクしたシングルアクセルで15.05点に止まっている。その6要素で20.24点減になっている。

「ショートに関しては、『秋によせて』の曲の中での4回転トーループがうまくハマらなくて不安なので、そこをどうやって変えていくかというのを、ちょっと考えなくてはいけないと思います。あとはショートでも、ルッツがこのまま確率がよくなってくれたら入れる可能性もあると思うので。いろいろ楽しみながら強くなっていきたいと思います」

 羽生がチェンを上回るためには各要素のGOE加点で上回り、ノーミスの滑りで演技構成点もしっかり稼ぐことだ。さらにSPに4回転ルッツを入れて得点能力をさらに高めれば、そこでリードしてチェンにプレッシャーをかけることができる。

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