羽生結弦はミスなく安定。最高得点の更新よりも自らの滑りに集中する (2ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 11番滑走だった羽生は、最初の4回転サルコウはジャッジがGOE(出来ばえ点)3~5点を並べ加点3.74点の出来できれいに決め、次のトリプルアクセルも9人中7人のジャッジがGOE5点を出す完璧なジャンプだった。

 だが次の4回転トーループは着氷でブレードが跳ねてしまい、尻が落ちて耐える形になった。それでもそこから「どんな状態でもトーループを付けるという練習をしているので、その成果が出たのかなと思う」と言うように、一拍遅れながらも3回転トーループを付けて連続ジャンプにした。

 その4回転トーループは、前日の公式練習では不安なく跳んでいたが、当日午前の公式練習では曲かけの前に軸が動いてしまって転倒し、その後のスタートの滑りから続けた時にはパンクして2回転に。曲かけでも2回転と調子が落ちてしまっていた。さらに直前の6分間練習でも、最初の4回転は跳んだが次の3回転トーループで転倒。その後は入るラインを確認して、回転するイメージ練習を2回繰り返していた。

 羽生は「悪くなった原因は、自分の中ではわかっている」としながらも、その理由は「言い訳になるから」と明らかにしなかった。

 だが、その力を使うジャンプでリズムが崩れてしまった。次のフライングキャメルスピンはいつもよりスピードのない回転になり、ステップシークエンスもスピードとキレが少し影をひそめる滑りになってしまった。

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