羽生結弦vsネイサン・チェン。GPファイナルは一騎打ちが濃厚 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 フランス杯では、冒頭の4回転ルッツで着氷を乱して単発になると、次の3回転ルッツに2回転トーループを付けてリカバリー。そのあとの4回転トーループからの3連続ジャンプはしっかり決めたが、後半の4回転サルコウと4回転トーループは着氷を乱して減点され、194.68点にとどまっていた。

 現時点での比較では、羽生の得点がほかの選手を圧倒している状況だ。ただし、チェンのジャンプの完成度がそこまでは高くなく、安全運転をしている状況だろう。

 チェンの強みは4回転の種類の多さにある。2試合でSP、フリー共に4回転ルッツと4回転フリップを入れ替えて試している。さらにフリーは、昨季の世界選手権では4回転がルッツ、フリップ、トーループ2本で、トリプルアクセル1本と3回転2本だったが、今季は2試合ともトリプルアクセルを2本入れる構成にしたうえで、4回転サルコウも入れている。

 チェンは、その時に調子のいい4回転を臨機応変に演技に入れてくる。また、これまでやや苦手にしていたトリプルアクセルを習得してきているだけに、今季は4回転を4種類5本、トリプルアクセル2本という構成で仕上げてくる可能性も高い。それをどこで組み込んでくるかが注目点だが、スケジュールに余裕を持って臨めるGPファイナルで実現することも考えられる。

 羽生の武器は、ジャンプ前の入りや、着氷したあとも含めた完成度の高いジャンプでGOE加点を獲得し、演技構成点を高得点にできることだ。羽生はNHK杯(11月22日~24日/札幌)のあと、中1週でファイナルに臨むことになる。どこまで体力を回復できるか、コンディション調整もカギになってくるだろう。

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