羽生結弦ら日本勢に影響は?今季ルールと見どころを国際審判員に聞く (3ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

「女子はこのままだと『跳んだ者勝ち』になってしまう心配があると思っています。シニアに転向してくるロシアの若手が4回転をポンポン跳んで、しかもパーフェクトな演技をしたら、ジャッジはコンポーネンツ(演技構成点)のほうも出してしまうかもしれない。そうなると、すごく上手に踊っても、内容が難しくないと演技構成点で差をつられない傾向が出てくるのではないでしょうか。

 それが現実になれば、ロシアの若手選手が表彰台を独占する可能性は大きいですね。日本選手が4回転を1本跳んだとしても、それで勝負できるかどうか。紀平梨花選手がトリプルアクセルを跳んでも、たぶんそれだけでは勝負にはならないと思います。ロシアの若手は4回転ルッツを含めて、おそらく2本、3本と跳んでくると思いますし、跳ばないで勝負することはないと思います」

 今季の女子は激しい新旧対決となりそうだ。

 一方、今季の男子は4回転の種類と本数に加え、どんな演技を見せるかというプログラムのバランスの勝負になるという。

「男子は4回転を何本入れるのかが焦点になります。ネイサン・チェン選手が5種類6本を入れてくるかどうか。それに対抗する選手がどう跳んでくるか。その一方で、プログラムをどう表現して見せてくるかも見逃せない。トップ争いの中で、高難度のジャンプを跳びながら、音楽に合わせて踊るという質の高いプログラムで勝負できる選手が多くなったので、羽生結弦選手や宇野昌磨選手がどう対抗してくるか、その勝負が興味深いですね。

 ジャンプの選択に関しては、たとえばチェン選手がフリーで4回転を5種類6回跳ぶとします。フリーでは7回しかジャンプを跳べないので、4回転トーループで連続ジャンプを跳ぶことにすると、トリプルアクセルを1本にして、連続ジャンプのセカンドに2本とも3回転トーループをつけるとか、3本目の連続ジャンプは1回転オイラーで3回転フリップや3回転サルコーを跳ぶという構成が考えられます」

例:4回転トーループ、4回転トーループ+3回転トーループ、4回転サルコー、4回転ループ、4回転フリップ+1回転オイラー+3回転サルコーまたは3回転フリップ、4回転ルッツ、3回転アクセル+3回転トーループ

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