羽生結弦ら日本勢に影響は?今季ルールと見どころを国際審判員に聞く (2ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

●フリーでの同種類の4回転の連続ジャンプが1回までに制限された。
●演技後半でのジャンプにおけるボーナス得点(基礎点の1.1倍)は、SPが最後の1本に、フリーでは最後の3本に与えられる。

 ルール改正があった昨季の戦いについて、吉岡氏は次のように振り返る。

「男子のフリープログラムが4分30秒から4分になったことで、シーズン前半はペース配分に苦労していたところが見受けられましたが、中盤以降は4分にぎゅっと詰まったプログラムをどう滑るかというペース配分ができていた。最終的には、選手からみるとそれほど大きな変化はなかったように思います」

 また、ルール改正はジャンプ一辺倒のプログラムで「跳んだ者勝ち」という傾向にストップをかけた一面もあったという。ジャンプの基礎点を抑えたり、GOE判定の幅を広げて演技構成点の得点増を図ったことで、音楽に合ったプログラムを表現できているかをしっかりと評価して得点に反映させようという流れができたからだ。

「スケーターの意識が、音楽の重要性に向いたように思いました。以前に比べて、あまり待たずにジャンプを跳ばなければいけないとか、スピンの姿勢変化を音にぴったりはめてやらなければいけないという意識が、選手の中に出てきているのかなと思いました」

 さらに、プログラム後半の得点が1.1倍になるジャンプの制限については、次のように高く評価した。

「プログラムのバランスがよくなった印象があるので、いいルール変更だったんじゃないかと思います。プログラムの後半に全部のジャンプを跳ぶことには違和感がありましたから、バランスよくジャンプが配分されたことはいいことだと思います」

 それでは昨季、そして今季のルール変更点を踏まえて、今季の男女シングルはどうなるのか。吉岡氏は「女子はシニアに上がってくるロシアの若手選手がどんな戦い方をするか、男子については4回転のジャンプ構成をどう選択してプログラムを作ってくるかに注目している」と話す。

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