2019.09.14

羽生結弦に不安の色はなし。「少しずつでも、いい方向へ」

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 トリプルアクセルからの連続ジャンプや、4回転トーループからの連続ジャンプなど、それぞれにしっかり気持ちが入っているように見えた。今季のプログラムはともに2シーズン目で、完成形もはっきりと見えている。だからこそ完成させたい、という気持ちが強かった。羽生は演技後に、「ここで完成させるなよ」と言われたようだった、と苦笑する。

 だが、サルコウのミスのあとは、「少し焦りはあったが、冷静にうまく切り替えられた」と言うように、納得のいく滑り。次のトリプルアクセルは、片足で多回転のターンをするツイズルから入ってツイズルで抜ける、一番やりたかった形だ。「去年のオータムでやった時はあまりGOE(出来栄え点)が良くなかったので、それ以来やっていなかったですが、自分では最も音に合った入りだと思っている」と本人が言うように狙いどおりの構成だった。

2シーズン目となるプログラムの完成度を上げている羽生結弦 公式練習では少し苦しんでいた4回転トーループ+3回転トーループも、「サルコウとは逆に、跳ぶ前の軌道をちょっと変えたりして、感覚ではなく理論で固めて跳べた」と成功し、ともにGOE加点では4点と5点が並んだ。さらに、スピンとステップも、すべてレベル4を獲得した。

 結局、4回転サルコウは回転不足も付けられるミスとなり、得点は98.38点。それさえきれいに決まっていれば、あと10点は増えて108点台まで近づけていたのだ。

「初戦だからという感じでもなく、単純に調整不足というわけでもないので……。以前に『パリの散歩道』でも4回転トーループが跳べなくなって、なかなか決まらない時期が2戦くらい続いたことがあったんです。ちょっとその感じと似ていますね。全体的には悪くないし練習もちゃんと積めているのに結果がこれなので、もっとやるべきことがあるのかなと思います」