少しずつ着実に進化していく。今季の羽生結弦は極めて柔軟だ (2ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao

 このオフシーズン、羽生は『ファンタジー・オン・アイス』に出演する前に左足首を捻挫していたと明かした。2年連続で痛めた右足首ほどではなかったものの、治癒に時間を要し、飲み薬の痛み止めを服用しないで練習できるようになったのは4週間ほど前からだったという。そんな状態にもかかわらず、『ファンタジー・オン・アイス』では4回転ルッツや4回転フリップに挑んでいたのだ。

「じつは、4回転アクセルの練習をするためにもっと回転力をあげていこうと思い、体を上に牽引するハーネスを付けてトーループとサルコウの5回転を練習していたんです。そうしたら、サルコウで足を引っかけて痛めてしまいました」と苦笑する。

 まだどちらもしっかり降りられたことはない。だが、「ハーネスを付けていれば4回転アクセルをすごくきれいに降りられるし、5回転の感覚もいい」と、明るい表情で言う。

 ジャンプ構成に関して言えば、SPで4回転ループを入れる可能性や、フリーでは4回転トーループ+1Eu(オイラージャンプ)+3回転サルコウを入れることも考えてはいる。

「でも、そこは調子次第かなと思います。今はサルコウの調子がいいので、ショートの構成は、今回は変えるつもりはないですね。とにかく今回は、試合勘をしっかり取り戻して、試合の時に何をしなきゃいけないのか、どういう感覚で(臨むべきなのか)ということを、一つひとつ試しながらやっていきたいと思います」

 最も強く思っているのは、今考えているジャンプ構成でふたつのプログラムを完成させたい、ということだ。この日の公式練習では4回転ルッツにも2回挑戦して、完璧ではないがしっかり着氷していた。

「フリーの4回転はとりあえず、ループとサルコウ、トーループ2本でいこうと考えています。でも、あとは調子次第ですね。ショートの結果次第でフリーでルッツに挑戦したり、後半の構成をちょっと変えたり......。いろんなオプションはあると思うし、いろんなことを練習してきたので、いろいろ試せると思います」

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