2019.07.25

大学生・樋口新葉は生活一変。
是が非でもトリプルアクセルを武器に

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 強化合宿の氷上練習では、トリプルアクセルの練習に時間を費やして、黙々と何度も何度も跳んでいた。完成までにはまだ時間が必要のようだが、両足着氷で転倒しないところまで形はできつつある。あとはもう少し高く跳んで、空中でしっかり回り切って降りるレベルにもっていきたいところだ。

 本人も手応えをつかんでいるようだ。

「トリプルアクセルの調子は、1回ステップアウトで降りたりしてきたので、もうそろそろ(跳べる)かな、という感じです。感覚はつかめそうですね。ヒュッとやったら降りられそうな感じです(笑)。回り切れつつあるので、あとは変な軸で跳ばないようにしたい。今季はとりあえず試合には入れていきたいですし、フリーで1本、跳びたいと思っています。

 これまで跳べないジャンプを試合でやったことはなかったので、ちょっとの不安と、跳べそうというワクワク感が半々くらいあります。昨季までは、曲かけ練習後の余った時間にアクセルの練習ができればやるという感じだったんですけど、今季はもうそんな時間もなく、練習時間もすごく少ないので、半分は曲かけして、もう半分はアクセルの練習をしています。アクセルの練習量は確実に増えていて、すごく感覚がつかみやすくなった」

 昨シーズン、紀平梨花がトリプルアクセルをひっさげて躍進を遂げたこともあり、このオフは宮原知子、坂本花織、三原舞依、横井ゆは菜ら、日本女子のトップ選手が軒並みトリプルアクセルに取り組んでいる。強化合宿の氷上練習を見る限りでは、習得に最も近づきつつあるのが樋口だった。

 今季の新しいプログラムも、樋口らしい意欲的な作品になっている。

 ショートプログラム(SP)はオーストラリアの歌手シーアの『バード・セット・フリー』をシェイ=リーン・ボーン氏が振り付けたもの。フリーはマッシモ・スカリ氏が振り付けた『ポエタ』となった。

 心に訴えかけてくる重厚なサウンドのSPについて、樋口は「振り付けの先生から提案してもらった曲で、昨年からずっと気になっていて、今年になって『やっぱりこれがいいな』と思って使うことにしました。演技内容としては、もがき苦しんでいるところから、自由に跳べるようになることを意識しながら、それをイメージして作ってもらいました。実際の演技構成も、連続3回転ジャンプまですごく苦しいんですけど(笑)、それを跳び終わったあとはちょっと自由に滑る感じで、それをステップのところで表現できたらいいなと思っています」と説明した。