宮原知子は「自分で決めた曲、
作ったプログラム」で挑戦を続ける

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 今季の新プログラムは、宮原の新たな一面が見られるものになるという。ショートプログラム(SP)は『Yalla, Tabla & Percussion Solo, Egyptian Disco (Buddha Bar Edit) / DJ Disse 』という、3曲を組み合わせた構成。フリーがジョン・ベイレス編曲の『シンドラーのリスト』となった。振付師はSPがブノワ・リショー氏、フリーはローリー・ニコル氏だ。

 リショー氏のプログラムは独特な表現と動きが特徴。坂本花織と髙橋大輔が昨季演じたフリープログラムも手掛けており、高い評価を受けた。また、ニコル氏は日本女子のエースだった浅田真央のプログラムを長年作ってきた世界的にも著名な振付師で、宮原の魅力を存分に引き出してくれるに違いない。

「SPはエジプシャンな感じで、途中からヒップホップになっている曲です。いままでとは全然違う自分を見せないといけないんですけど、すごく激しい動きが入っている振り付けです。これまで自分がやったことがないステップがたくさん入っているので、振り付けのときには体中が痛くなったんですけど、だいぶ息の使い方や曲に馴染んできたかなという感触なので、新しい世界観を見せたいと思っています。

 フリーは『シンドラーのリスト』とラフマニノフの『鐘』が混ざった、ジョン・ベイレスさんのピアノ曲で、こちらはSPと違って、生と死の重いテーマのプログラムになっています。『シンドラーのリスト』の映画のお話になぞらえて、自分でテーマを考えました。重く深いテーマをいかに見せるかというのが大切になります。コンテンポラリーダンスを取り入れた動きがたくさん入っていて、いままでのバレエっぽい感じとは違う、もう少し型にハマっていない動きで、どちらかというとちょっと苦手な要素が入っているので、さらに練習をたくさんしていきたいと思っています」

 ジャンプ同様、演技面でも進化を遂げようとしている宮原が、どんなプログラムに仕上げてくるのか、いまから楽しみだ。

 今年3月で21歳になった宮原は、すでに日本女子の中ではベテランの部類に入る。長年守ってきたエースの座も、年下の坂本や同門で急成長した紀平梨花に奪われた格好だ。しかし、負けるつもりはない。「自分にはまだ伸びしろが十分にある」と、さらなる成長を目指して、新たな取り組みに真摯に向き合っていた。

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