紀平梨花は燃え尽きない向上心の塊。
4回転を「2種類跳びたい」

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

「GPシリーズももちろんいい成績を残せるようにしないといけないと思いますけど、やっぱり世界選手権での表彰台を意識して、最後まで力を残して、そこで一番いい演技ができるようにしたいです」

 目を輝かせながら、はっきりと未来予想図を描いていた。

 一方、世界トップスケーターの仲間入りを果たした平昌五輪代表の坂本花織も、新しくタッグを組むシェイ=リーン・ボーンにSP『ノー・ルーツ』を振付けてもらい、「ドリーム・オン・アイス2019」で披露した。

 赤いコスチュームを身にまとい、冒頭に3回転フリップ+3回転トーループのダイナミックな連続ジャンプを決めると、ノリのいいダンス音楽に乗って新境地を見せてくれた。振付当初は何回も転んでいたという「難しいステップ」も、滑り込むことでものにしようとしている。

「(シェイ=リーンからは)とくに物語はないんですけど、格好いいので『女スパイ風』みたいな感じで演じるように言われています」

 昨季はトリプルアクセルを跳ぶ計画もあったが、結局、習得できずに、試合で使うことはできなかった。これを反省材料に、新シーズンではフリーに組み込むつもりでいると宣言した。

「SPではリスクが高すぎるので、フリーで最初に1回だけ入れようかと思っています。昨季は入れる、入れると言って入れなかったので、今度こそは、失敗しても恐れずに挑戦しようかなと思いました。まだシーズンのいつに入れるかわからない。先生と相談しながら、念頭に入れて練習します」

 昨季は、全日本女王となりながら、GPシリーズなどの国際大会ではタイトルを取れなかった。坂本は「結果を求めすぎて空回りした」と、反省を口にする。

「結果を求めないと言いましたが、全日本連覇もしたいし、昨季叶わなかった世界選手権の表彰台も目指したい。昔のように前を走っている人を追いかけながらやっていけば、自分らしさを全開にしてできると思うので、あまり考えすぎずにやっていきます」

 やるべきことに集中して前進すれば、きっと道は開けるはずだ。

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