紀平梨花は燃え尽きない向上心の塊。
4回転を「2種類跳びたい」

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 昨季も、トリプルアクセルをショートプログラム(SP)とフリーで計3本組み込む難度の高いプログラムを演じてきたが、新しいフリーは、さらに超高難度のプログラム構成となる。前述のように冒頭に4回転サルコウを跳び、その後、トリプルアクセル+2回転トーループ、3回転ルッツ、そして2本目のトリプルアクセルを、基礎点1.1倍となる後半直前に跳ぶ予定だという。

「昨季よりも新シーズンの目標にする演技は難しく、レベルが高くなってきているので、試合までに確実に持っていかないといけないと思っています。だから『時間がない、時間がない』という日々で、本当にまだまだすることがいっぱいで、シーズンインまで何とか(間に合わせて)持っていかないといけないです。プログラム構成が難しかったり、ショートプログラムも挑戦的な音楽を使ったりしているので、とにかく、すごくたくさん練習して、何とかいい状態でシーズンを迎えられるように練習したいです」

 紀平の新しいプログラムは、SPが女性ボーカル曲の『ブレックファスト・イン・バグダッド』(シェイ=リーン・ボーン振付)で、フリーは『インターナショナル・エンジェル・オブ・ピース』(トム・ディクソン振付)だ。4回転サルコウを組み込む予定のフリーは振付師自ら編集して命名した楽曲といい、紀平はこう説明した。

「静かな曲で始まって、途中からはたくさんの宗教音楽が混じっていて、それらをまとめたような曲になっています。『インターナショナル~』という曲名になったので、すごくテーマが難しくなってしまったんですけど、ディクソン先生からは細かく指示を受けているので、さまざまな場面を思い浮かんでもらえるように、しっかり表現していきたいです」

 新シーズンの幕開けとなる「ドリーム・オン・アイス2019」(6月28~30日)では大トリを務めた。初日の28日はエキシビションナンバー『グレーティスト』を披露、ノリのいいダンサフルな曲に乗って連続3回転ジャンプなどを跳んでみせた。

 少し大人びた雰囲気も醸し出し、体つきがやや丸みを帯びている印象も見受けられた。ストイックにコンディション管理をしている紀平だけに心配することはないと思うが、身体的成長とうまく付き合いながら、昨季以上の活躍を期待したい。紀平は高い目標をしっかりと掲げてこう意気込んだ。

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