「気張りすぎていた」羽生結弦。
逆転勝利のためにやるべきことは

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

「失敗をしてからは頭の中が久しぶりに真っ白になり、いっぱい一杯で、全力でやり切るということしか考えられなかった。とくに4回転+3回転は絶対に決めなければいけないという気持ちが強くありました」

 こう話す羽生は、次のトリプルアクセルを3.43点の加点をもらう出来にして立て直すと、4回転トーループ+3回転トーループはセカンドで少し詰まりかけたが、2.71点の加点をつけた。ステップシークエンスも序盤は少し急ぎすぎているような感じはあったものの、スピンとともにすべてをレベル4にして乗り切った。その結果94.87点。最終滑走でノーミスの滑りをしたネイサン・チェン(アメリカ)に、12.53点差をつけられて、3位発進となった。

 フリーではルッツ、フリップ、トーループと、4回転3種類4本を入れてくるチェンにこの得点差をつけられたのは厳しい。だが、逆転の可能性がある限り挑戦するのは当然だ。とりあえずやらなくてはいけないのは、羽生自身が言っているように「自分の構成をしっかりやり切り、一つひとつきれいなジャンプを決めていくしかない」という演技だ。  

 その演技で、次に滑るチェンにどれだけのプレッシャーをかけられるか。

「やっぱり自分にはいろんな経験値があると思うので、それをいろいろ使っていきたい」と言う羽生。王者の意地が見られることを楽しみにしたい。

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