坂本花織の自信。紀平梨花の強気。
フリーで問われるのは適応能力だ

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 演技直後の紀平は、顔をゆがめて悔しそうな表情を見せた。

「いつもだったら集中しすぎると緊張に変わったりするんですけど、緊張はあまりなかったです。この大会は『本当に強気で絶対やる』という気持ちを持ちながらやっていたので、その気持ちはよかったなと思いました。とにかく、(失敗した)トリプルアクセルの感覚をもっと作らないと、ショートで決めるのは大変というか、自分(の感覚)ができていないと思ったので、もっともっと感覚を作ることが大事になるとわかりました」(紀平)

 SP、フリーで計3本のトリプルアクセルを跳ぶことは、紀平にとってもまだ簡単なことではない。感覚で跳ぶよりも頭で考えて跳ぶタイプだが、それでも、試合ごとに会場が変わり、リンクが変わるなかで、他のジャンプ以上に微調整が必要なトリプルアクセルを試合本番に合わせていくことは、至難の業のようだ。

「心が完璧でも、自分の感覚が合っていないとダメなので、今回のリンクに合わせたアクセルの跳び方を一番いいジャンプとして自分の頭に描きつけないと、ショートのトリプルアクセルのようにああいうズレが起こってしまう。もうあとは(フリーまでに)アクセルをたくさん跳ぶしかないと思っています。

 もっと何も考えなくても、どんな状態でも跳べる感覚にしていかないといけなかったなという後悔があって、本当に反省するしかないです。フリーは全部の実力を出せるように、今回の演技でダメだったところを挙げていって、克服して、フリーに臨むことが絶対大事だなと思いました。

 とにかく感覚を合わせて、緊張感を保って強気でフリーに挑みたい。フリー前の朝練習はメインリンクでできると思うので、そこでたくさん跳ぶしかないと思います」

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