世界選手権は三つ巴。
羽生結弦は今季最高得点をたたき出せるか

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 さいたまスーパーアリーナで開催される世界フィギュアスケート選手権。3月21日にショートプログラム(SP)が行なわれる男子は、羽生結弦宇野昌磨、ネイサン・チェン(アメリカ)の三つ巴の争いになりそうだ。

公式練習で軽快な動きを見せた羽生結弦公式練習で軽快な動きを見せた羽生結弦 その中でも順調に仕上げてきているのがチェンだ。今季は大学に進学して環境が変わった影響もあるのか、シーズン序盤はなかなかノーミスの演技ができずグランプリ(GP)シリーズはファイナルまで3連勝を果たしたものの、280.57点と271.58点、282.42点と得点を伸ばせず、羽生がGPフィンランド大会で出した297.12点には及ばなかった。

 しかし、今年1月の全米選手権では世界が驚く結果を残した。SPでは4回転フリップと4回転トーループを入れる構成を完璧に滑って、113.42点。フリーでは、ルッツとフリップ、トーループの3種類4本の4回転を入れた構成で、SPと同じくスピンとステップもすべてレベル4にして228.80点を獲得した。合計を342.22点に伸ばし、圧倒的な強さを見せた。

 公認記録ではなく、国内大会での得点は少し高く出る傾向があるとはいえ、控えめに見積もっても国際大会で320点台中盤から330点くらいが出る可能性もあり、日本勢ふたりの前に立ちはだかろうとしている。

 一方、羽生と宇野ともに、足首の故障がどこまで回復しているかがポイントになる。

 羽生は、今回と同じように右足首が完治していない状態で出場した平昌五輪の時より、ケガをしてから大会までの期間が3週間長いことが期待を持てる大きな要因だろう。完治したとは言えない可能性もあるが、平昌で見せた集中力と冷静な滑りは強く印象に残っている。最大のポイントは、今季はフリーに入れている4回転ループをしっかり跳べるまでになっているかだ。

 今季は4回転サルコウとトリプルアクセル、4回転トーループ+3回転トーループの構成になっているSPは、ロシア杯でもノーミスの滑りで今季世界最高の110.53点を獲得しており、プログラムをほぼ完成させているだけに、世界選手権でも安定した演技を見せてくれるだろう。

 フリーは、4回転ループを入れられるかどうかがカギを握る。190.43点を出しているフィンランド大会の得点で考えれば、すべて完璧な演技をすれば、演技構成点もそれに応じて上がるはずで、210点以上は獲得できる計算になる。SPと合わせれば320点台には間違いなく乗せられるだろう。

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