全日本2位の髙橋大輔は、ソチ五輪後に自らの現役復帰を予言していた (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 Text by Oriyama Toshimi 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 髙橋は、SP後に表彰台を狙える状況になったことを聞かれると「100%の演技をしなければ表彰台は見えてこないし、それをやることが結構厳しいとも思っていた。だから表彰台というよりも、大きなミスなく終えることしかないかなと日々思っていました。負けたら負けたで、すがすがしいと思うだろうし、勝ったら勝ったで本当にうれしいと思う。どっちに転んでもスッキリ終えられるだろうなということだけははっきりしています」と明るい表情で答えた。

 フリーは、前夜から「逃げ出したいと思うほどの緊張感があった」が、終わってみると「悔しさだったり喜びだったり、いろんなことを味わうことができた幸せも感じた」と言う。フリーで4回転を跳ぶことを決めたのは、6分間練習の時。そこできれいに跳べた瞬間、「これはやれということかな」と思ったという。

 だが、その4回転は3回転に。そのあとのトリプルアクセル+2回転トーループは決めたが、連続ジャンプを狙った3回転フリップでは着氷で手を突いた。後半、最初のトリプルアクセルを決めて3回転ルッツには1Eu+3回転サルコウを付ける連続ジャンプにしたが、その後のループはパンクして2回転になり、最後のフリップでも着氷を乱してステップアウト。技術点は全体で12番目の63.60点だったが、演技構成点で得点を稼いで151.10点でフリー4位。合計を239.62点にして2位になった。

「調子から言えば出し切れてないふがいない演技でした。4回転を入れるプログラムの練習回数を考えてみると仕方ないかなと思いますが、この緊張感の中で4回転を入れるプログラムをやるには練習量が足りなかった。攻めた結果なのかもしれないけど、フリップで手をついたり、ループでパンクしたり、コンビネーションを付けられなかったり。あまりしないようなミスが悔しかったですね。この試合期間は楽しかったし、充実した日々を過ごせたけど、今日の出来に関してはスッキリ年越しできるような演技をしたかった」

 また、自身の復帰で若い選手たちが刺激を受けたのではないかという質問には、こう答えている。

「お互いに刺激し合えたのではないかと思います。おっさんが頑張っているから、しんどいと言えずに『俺も頑張らなければ』と思ったり。僕自身も世界で戦ってきたしトップでいた時期もあるのでやっぱりプライドもあるし、負けたくない自分もいる。そういう面では『くそ、負けられないぞ』と、逆に若い子たちからパワーをもらったりしていました」

 今回の全日本は、宇野が優勝して世界選手権代表を決め、ケガで欠場した羽生結弦がこれまでの実績で世界選手権代表に選ばれた。また、昨季の世界選手権5位の友野一希が全日本で4位に止まったことで、髙橋の世界選手権代表選出の可能性もあった。しかし、髙橋はそれを辞退した。

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