「やってやったぞ!」宇野昌磨、逆境を力に変えて精神的に成長 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 Text by Oriyama Toshimi能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 フライングキャメルスピンの後のトリプルアクセルもきれいに決めて2.63点の加点をもらい、シットスピンがレベル3になる取りこぼしはあったものの、終わってみればロンバルディア杯で出した、今季自己最高の104.15点に迫る102.06点を獲得。2位につけた髙橋大輔に14点近い差をつける1位発進となった。

「6分間練習ではジャンプを1本も跳ばずに本番に挑むことになったんですが、一番目という滑走順に助けられたのかなと思います。普通だったら気持ちを切り替えたいという人が多いかもしれませんが、逆にそのままリンクに残って、名前をコールされてから自分のスイッチが入ったというか。

 不思議に、不安だとかできないというイメージが湧かなくて。できるような気がするというのではなかったけど、『やってやるぞ!』という気持ちが強かったですね」

「自分がどんどん追い込まれていくのをすごく感じたが、不安な気持ちが生まれることはなかった」とも言い、「それが逆に強い自分を出すきっかけになったのではないか」と振り返った。

「これまでの試合では、(ジャンプの)回り過ぎとかいろいろ考えたところがあったかもしれないけれど、今回はもうそんなことを考えるような余裕もなかったし、だからこそ自分の演技だけに集中したのかなと思います。だから今回は自分を信じるというよりは、弱い自分ではなく強い自分だけがいたなと思います。

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