羽生結弦らトップ3が優位。格差拡大の男子フィギュア勢力図を読み解く (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 ハビエル・フェルナンデス(スペイン)がGPシリーズに出場せず、パトリック・チャン(カナダ)は引退。また、世界選手権2年連続3位の実績を持つボーヤン・ジン(中国)が調子を上げられず絶不調になっていることで、トップとその下の集団の差は以前より拡大したと言っていいだろう。

 注目は、合計300点以上を誰が最初に記録するかだ。それは時間の問題とも言えるが、条件のひとつになるのはSPでの100点台獲得だ。

フリーで今季最高得点を記録している羽生結弦フリーで今季最高得点を記録している羽生結弦 羽生はすでにロステレコム杯(ロシア大会)で今季世界最高の110.53点を獲得しており、宇野もロンバルディア杯で今季2位の104.15点を記録している。チェンも、ファイナルのSPでミスをした4回転トーループ+3回転トーループを、GOE加点3.26点をもらったフリー並みに決めれば105点前後になる。

 フリーに関しては、演技時間が30秒短くなった今季、トップ3人はまだノーミスの演技ができていない。ジャンプはひとつ減ったが、GOE加点を稼ぐためにはジャンプの入り方や出方に工夫が必要になっており、つなぎの滑りもさらに高度になった。滑りの技術を詰め込んだプログラムになっているからこそ、余裕がなくなってミスも出やすくなっていると言える。

 それでも宇野は、「やっていることがみんな難しいのでノーミスの完璧な演技はすごく難しくなっている。でも、3回転だけで構成していた頃は、3回転を今の4回転くらい難しいと思ってやっていた。いま難しいと思っている構成も、いずれは当たり前になると思うので、『難しい構成だから失敗は仕方ない』という考えはなるべく捨てたい」と話す。

 女子では紀平梨花がトリプルアクセルで今季を席巻し、ジュニアは4回転を跳び始めている。それと同じように、羽生たちトップ3が300点越えを果たして初めて、男子フィギュアスケートも次の新時代が始まるのだろう。

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