浅田真央とはひと味違う紀平梨花。目指すは「北京五輪で優勝」 (2ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 憧れの浅田真央と肩を並べる結果を出した16歳だが、13年前に15歳の中学生で鮮烈なシニアデビューを飾った浅田はまだジュニア感満載で勢いがとにかくすごかった。それと比べると、高校生の紀平はすでにシニア然とした落ち着きをまとっていて、浅田とはひと味違ったシニアデビューを飾ったと言えるだろう。

 女子としては高難度の大技であるトリプルアクセルを浅田と同じように習得することを選択した紀平にとっては、自分が世界のトップを目指すためにはどうしても武器にしなければいけないジャンプだとわかっていた。だから、何が何でも、どんなに苦労しても身につけなければならなかったのだ。

「トリプルアクセルは昨季から跳んでいたものですけど、本当に試合で跳ぶことが難しくて、本当に頑張ってやっと、今季から安定感が出てきたし、(昨季の悔しさを)絶対に今季晴らしたいと思っていました。トリプルアクセルの大技をやらない選択もあったと思うんですけど、いまはやり続けてきてよかったなと思えるし、やらなかったほうがよかったなという思いは絶対したくないと思いました。習得は難しかったんですけど、やってきて本当によかったですし、いまは自分の実力が出せてうれしい気持ちです」

 そう話した紀平は、冒頭のトリプルアクセルで失敗した以外はミスのない演技を披露。試合に集中できるようになって「練習どおりの演技ができる確率が上がった」と言う。また、「シーズン初めはファイナルで優勝できるとは想像もしていなかった。昨季のように練習でやれたことを試合で出せないことだけは嫌だったので、毎日頑張って練習してきて良かったなと今は思います」と、喜びで自然と笑みがこぼれていた。

 フリーの得点は自己ベストを更新できなかったものの、合計得点の233.12点は自己ベストを8.81点更新する高得点だった。キスアンドクライで祈るように点数が出るのを待った紀平は、喜びを爆発させて両手を高々とあげた後、両手で頬を押さえてうれしさに浸っていた。

「150点という良い点数が出て本当にうれしかったです。最初のトリプルアクセルでミスがあっても、他の部分でも評価してもらえたのでうれしいですし、本当にあきらめずにやってきてよかったなって思っています」

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