髙橋大輔、「全然できていない」と言いながら復帰シーズンを楽しむ (3ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha 坂本清●写真photo by Sakamoto Kiyoshi

 以前から髙橋とタッグを組んで、今回の現役復帰後もサポートすることになった渡部文緒トレーナーはこう語っている。

「とにかく本人に"できるんだ"と感じてもらうことが大テーマなので、まずそこから始めました。(故障していた右ひざの)再建というか、彼らしい動きが戻ってくるにはまだちょっと時間がかかります。いまの段階では5割くらいの状態だと思います」
 
 一方で、4年前と違うのは気持ちの部分だという。渡部トレーナーは「取り組む姿勢はだいぶ変わりましたね。自分で決めてやってくれるのですごく楽です(笑)。前はこちらが(やる気を)持ち上げていかないといけなかったですが、いまは体のことも会話しやすくなっていますし、自分から進んで取り組んでいます」と言う。
 
 最大の理解者である長光歌子コーチもまた、現役復帰後の髙橋のフィギュアスケートに対する取り組む姿勢に目を細める。

「とにかくモチベーションが非常に高いところに感心します。毎日すごく練習をしていますし、生き生きとしてやってくれるので、見ていて楽しいですね。(本来であれば)4年間に詰めておかなければならなかったことが、この復帰を決めてから、今日までの短い間にすべて押し寄せてきて、『ちゃんとこれを経験しておかなければダメだったね』と、よくふたりで言うんですけれども、自分のモチベーションがあるのに練習できなかったり、思うようにジャンプが跳べなかったり、いろいろスケーティングができない日もありましたけれども、常にそれでもきちんと前向きにいるなと感心していました。

 足を故障するまでの夏などは、すばらしい滑りを見せていましたので、全日本までには何とかいい状態にして、1回でもいいのでいい滑りをみなさんに見ていただきたいと思っています」

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