髙橋大輔、「全然できていない」と言いながら復帰シーズンを楽しむ (2ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha 坂本清●写真photo by Sakamoto Kiyoshi

 ただしその演技は、プログラムの振り付けや曲調のせいかもしれないが、滑り自体に髙橋らしさがなく、"とんがった"演技ではなかったのが少々残念だった。

 髙橋本人も「目指すところからすると、40点くらいの演技かな。100点になることはないと思いますけど(笑)、感覚としてはそんな感じです」と、振り返っていた。

 4日のフリーでは、プログラム序盤に組み込んだトリプルアクセル+3回転トーループを完璧に跳んでみせ、出来栄え点(GOE)で2.56点の加点をもらう。さらに演技後半に跳んだ単発のトリプルアクセルでも鮮やかに跳んでGOE加点で2.72点をマークした。

 会場がくぎ付けになったのが、上半身と下半身を複雑に動かしながらの独創的で美しい振り付けのステップシークエンスとコレオシークエンスだった。音をしっかりと捉えながら、髙橋ならではの表現力を遺憾なく発揮し、ほれぼれする滑りを見せてくれた。ステップではレベル4と判定されてGOEも1.56点の加点をもらい、コレオでも1.70点のGOE加点がついた。

 演技後、苦しそうに顔をしかめて辛そうだった髙橋だが、スタンディングオベーションを浴び、会場は大歓声と大きな拍手で包まれた。

 やはり4年間のブランクは実力者である髙橋でさえも簡単には埋められないのだろう。とくにコンディションづくりには細心の注意を払わなければならないという。

「予想以上に全然できていないですね。もうちょっと楽に戻せるかなと思ったんですけど、全然楽ではなくて......。メンタルの部分では高くて、いい状態で過ごせているので、それに体がついてきていない状況です。(この時期に)もう4回転1本くらい跳べているつもりだったんですけど、まったくそんなところまで行っていなかったりとか、追い込んでやってしまうとケガをしてしまったりとか。4年のブランクで、実績だったり、積み上げがないというのは、これだけ影響するんだなと感じています」

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