「次のロシア大会が楽しみ」。羽生結弦の表情は輝いている

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 そんな状況もあって少し勢いを抑えたことが、4回転ループや4回転トーループの回転不足にもつながった可能性もあるが、その状態での解決策を見つけ、しっかり対応したことが、難度の高い構成のプログラムをやり切る力にもつながったとも言える。そしてそれこそが、羽生の底力でもある。

 また、こだわりを持っていた「4回転トーループ+トリプルアクセル」についてはこう言う。

「4回転トーループ+トリプルアクセルはアンダーローテーションもついていないので、一応成功にはなったんですが、自分では加点をしっかりもらえてこそ成功だと思っています。アクセルへの思い入れもあるし、後半にトリプルアクセルを2本入れたいという強い思いがあったので、このジャンプをやろうと思いましたけど、それでGOEを取れなければアクセルを入れた意味はないなと感じています。

 今シーズンのGOEの比重の大きさというのは、あらためて自分の演技後の点数を見て感じたところでもあります。『全部降りた』ではなく、『全部きれいに決まった』と言い切れるような演技をしなければいけないと思います」

 ただ、試合全体を振り返ってみれば、羽生は「GPシリーズ初戦としてはかなりいい出来だったと思う」とも言う。「有意義に試合を過ごすことができたし、それに加えて課題も多く見つかった」と。

「この結果の糧になったのは、オータムクラシックだったと思います。あそこで得たものはすごく大きかったと思うし、やっぱり試合というのはものすごく自分を成長させてくれるんだなというのをあらためて感じました。オータムクラシックの前までは4回転アクセルの練習をしていましたけど、あの結果を受けて『今はこれを練習している場合じゃない』と気づかされたというのもありました。

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