自己ベストで逆転優勝。今季の宇野昌磨は、これまでとはどこかが違う (2ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha photo by AP/AFLO

「練習でやってきたことを信じて強い気持ちで最初の2つのジャンプを跳んだが、トリプルアクセルのときに、練習で跳べていたからという油断した気持ちが踏み込みに出てしまって、かなり浅い踏み込みになって失敗を招いた。自分の油断した気持ちにちょっと悔しいのと、またやってしまったという後悔の気持ちが、演技中から沸き起こっていました」

 宇野は昨季も、得意なジャンプや練習でミスがほとんどないジャンプで油断する傾向があり、試合で失敗や回避を繰り返していた。だからこそ、自分自身の気持ちのスキが起こした今回のミスに対して、激しい「悔しさと後悔」が口をついて出たのだろう。

「6分間練習がよくなかったんですが、気持ちを切り替えて本番では強い気持ちでいけたんですけれども、2つの4回転を成功させて(気を引き締めることを)忘れてしまった。トリプルアクセルの失敗は本当に油断した結果でしたね。10回中何回も失敗しないジャンプなのに、それが試合で出てしまったのは完全に自分の気持ちのミスかなと思います」

 得意のトリプルアクセルで失敗したショックは大きすぎて、演技面のよかった部分を振り返ることができなかったほど。それだけに翌日のフリーは、必ず巻き返すために完璧な演技を見せる意気込みで臨んだようだ。

「今日のフリーは、昨日のSPの悔しさをぶつけた演技だったかなと思います。体力に関してはとても自信があったんですけども、昨日のトリプルアクセルの失敗の悔しさから、今日のフリーでは最初から全部を出し切ろうという思いで、スケーティング、スピン、ジャンプのすべてに100パーセントの力を入れて、手を抜くことなく思い切りやろうという気持ちで滑りました。だからこそ、最後に体力がなくなってしまい、最後の2つのジャンプを失敗してしまった。この失敗は今後の練習での課題になると思います」

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