2018.10.09

髙橋大輔「最低」の復帰戦もさすがの存在感。「楽しめるのは次から」

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 能登直●撮影 photo by Noto Sunao

 そして翌日のフリーへ向けては「もうショートでこれだけ疲労困憊しているので、『フリーはどうなることやら』というのはありますね。『4分間持つかな?』という不安の方が大きくて。より一層緊張感は高まると思います。ただ、これまでは緊張感でどうなるかというのがあまりわかっていなかったけど、今日それを経験できたので、明日は緊張感に対する準備もできると思う。あとは思い切りやることだけを考えて、精いっぱい自分を出し切るようにしていきたいと思います」と笑いながら話していた。

 だが、フリーはSP以上に厳しかった。動き自体はSPよりよかったと言い、最初の3回転フリップ+3回転トーループは1.77点の加点をもらうジャンプ。しかし、次のトリプルアクセルで転倒し、続くサルコウは2回転になってしまった。さらに、ミスをした疲労が出てきた後半になると、2回目のトリプルアクセルで転倒、続く3回転ルッツと3回転ループはダウングレードになって両足着地になった。

 コレオシークエンスでは髙橋らしさを見せたが、最後のジャンプのフリップも2回転で「ノットクリアーエッジ」と判定され、SP以上の疲労困憊状態で演技を終えた。久しぶりの試合の緊張感で硬くなっていた体が、疲労の蓄積を増幅させたのだろう。

 フリーの結果は118.54点の4位。復帰戦は合計では195.82点で3位に止まった。

「ショートの前も緊張していたんですけど、ショートは時間が短い分ある程度気合いでもっていけたところもあったと思います。だけど、フリーは気持ちだけでもっていけないというのを強く感じたし、本当に練習が大事だなということをあらためて感じました」

 SPの時は「とくにスピンは練習でできている半分以下だった」と、練習でできていることの5割から6割しか出せなかったと話していた。そして、フリーはそれ以下だった。だがSP、フリーともに、体全体を柔らかく使い、音楽に乗って滑る姿は「さすが高橋大輔!」と感嘆する存在感と華があった。

「今回は必死で耐えるだけだったから、楽しめていないですね。本当に楽しめるのは、西日本選手権からかもしれません」と笑顔で語った髙橋。デヴィット・ウイルソン振り付けの『ザ・シェルタリング・スカイ』とブノワ・リショー振り付けの『ペール・グリーン・ゴースト』を、これからどう仕上げていくか、とても楽しみだ。

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