宮原知子、坂本花織は「ザギトワとの30点差」をどう縮めていくか (3ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

「今季ここまで2戦を終えて、正直な気持ちは、まだまだ全然ダメだということです。今季はテーマとしてチャレンジすることを掲げています。いまはとにかくジャンプの跳び方の意識を変えて、回転不足のないジャンプをするということに取り組んでいるところなので、試合をこなしていくうえでどんどん身につけていきたいと思っています」

 宮原は厳しい戦いに向けての覚悟の意気込みを見せた。

ジャパンオープンではザギトワに続き2位となった坂本花織ジャパンオープンではザギトワに続き2位となった坂本花織 一方、ジャパンオープンが今季すでに3試合目となる坂本は、シニア2年目のシーズンとなり少々気負いもあるようだ。シニアデビューシーズンだった昨季は、見事な戦いで五輪切符をつかみ、シンデレラガールとして4年に一度の大舞台を踏むことができた。表彰台には手が届かなかったが、自分なりの満足感を手にしたのは間違いない。さらには、五輪代表になったことで得られた自信と責任感が芽生えたことも確かだろう。

 平昌五輪の団体戦以来となるチーム戦のジャパンオープンに初出場するという緊張感もあったのだろう。大会前日の囲み取材ではこんなことを口にしていた。

「オリンピアンとしてちゃんとしなくちゃ、という意識はあります。オリンピックのチーム戦では納得いかずに終わってしまったので、今回はちょっとでもチームに貢献できるようにしたいです。それに、ここまでロンバルディア杯など2試合は完璧ではないので、この試合で完璧にやって、どれくらい点数が出るかを確かめたいなと思います」

 調子が上向きになってきたこともあり、その発言は前向きだった。

 気になるのは、昨季と比べると、坂本の闘争心がやや落ちているように見えることだ。ジャパンオープンでも、演技に勢いが感じられなかった。フリー『ピアノレッスン』のプログラム自体が、しっとりとした落ち着いた雰囲気の演技内容になっているからかもしれないが、どこか、坂本らしいはつらつとした滑りが影を潜めているように思えてならないのだ。

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