羽生結弦も順調。日本人スケーターがアイスショーで着々と調整 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 能登直/Fantasy On Ice 2018●撮影 photo by Noto Sunao/Fantasy On Ice 2018

 羽生はその中でも、自分を着々とレベルアップさせていた。2会場目の金沢公演では、初日はトリプルアクセルと3回転トーループ、2日目には4回転トーループに挑戦。これは着氷が少し乱れたものの、フィナーレでは4回転トーループに再挑戦して、きれいに決めて観客から大歓声を受けた。

 その翌週は、長野で開催された『ヒーローズ&フューチャー2018』の2日目から出演。ここでは2017年世界選手権で世界最高得点を出した『ホープ&レガシー』のショートバージョンを滑り、その演技で3回転ループを解禁。その後の4回転トーループは転倒したものの、トリプルアクセル+1回転ループ+3回転サルコウをきれいに決めると、コレオシークエンスの後にトリプルアクセルを跳び、コンビネーションスピンで締めくくる演技を披露した。

 最終日には、3回転ループで予定していた最初のジャンプを、「軌道が違っていて跳びにくい」と、元のフリーの演技と同じように3回転フリップに変えて軽々と跳び、会場を驚かせた。

 さらに、その後は4回転トーループ+3回転トーループを成功させると、トリプルアクセルからの3連続ジャンプと単発のトリプルアクセルをきれいに決め、順調な回復ぶりを大いにアピールした。

 続く6月15日から開幕した『ファンタジー・オン・アイス』後半の神戸公演では、ピアニストの清塚信也とのコラボレーションである『春よ来い』を披露。ジャンプは2本だけの演技だったが、初日と2日目は最初に3回転ループを跳び、後半には大きさのあるシングルアクセルを跳ぶ構成となった。

 その演技を、最終公演の静岡では感情を少し抑えた洗練させたものにして、最初の3回転ループもきれいに跳んだ。その回転速度はこれまでより速く、最終日には4回転も十分いけると思わせるほどの3回転ジャンプになっていた。プログラムの完成度がさらに高い演技を披露した羽生は、4回転ループも跳べそうな状態になっている姿を見せて、アイスショーシーズンを終えた。

トリプルアクセルも跳んだ紀平梨花トリプルアクセルも跳んだ紀平梨花 また、羽生と同じく全公演に出演した紀平は、最初の2公演と神戸の初日まではショーナンバーの『ラビアン・ローズ』を滑り、神戸の2日目からは昨季トム・ディクソンに振りつけてもらった『ビューティフル・ストーム』を披露した。

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