2018.05.09

フィギュア超絶マニアが、羽生結弦の
金メダル演技を異常に細かく分析

  • 高山 真●文 text by Takayama Makoto  photo by JMPA/Noto Sunao

 加えて、アームの表現! シャープなターンと連動するかのように、かつ、音楽の盛り上がりどころとリンクするかのように、情熱的かつエレガントになっています。

 このステップシークエンス全体に言えることですが、「非常にクリアな足さばきでありながら、一足ごとにパッションの温度が上がっていく」この感じ、私は「クリスタルが沸騰している」というイメージを持っています。

 ■小さなホップ(このホップの瞬間の、ピアノの音との同調性も見事)から直ちに行う、右足だけで異なるターンを踏み続ける箇所。

 ひとつひとつのターンが明確なのはもちろん、右足だけで出している距離の長さが素晴らしい。

 ■プログラムの最初のムーヴとリンクするかのような、充分に体勢を保持したブラケットターン。

 ■インサイドのイナバウアー。なんと言うか、「途中まではターン。いつの間にかイナバウアー」という感じの、非常にシームレスな実施。イナバウアーに入る直前の右足が、遠心力をガッツリ使って外側に振っているのにビックリ。

 右足が氷に着くまでは、その遠心力ゆえに「かなり体軸の外側にブレてしまうのではないか」と思うのに、右足が氷をとらえるや、なめらかなイナバウアーのトレースに一瞬で入っている。こういった「さばき方」も、羽生結弦のオリジナリティのひとつに挙げたいと思います。

 イナバウアーやイーグルで、エッジワークの上手さを魅せる選手が私は大好きなのですが、ほとんどの選手は、「左右それぞれの足をピタッと着氷させてから、グイン!と加速する」さばき方です。

 ■アームのポジションにバリエーションをつけたツイズル(途中で、軸足に巻き込んだほうの足を一度ほどいていますので、私としては2つのツイズルの連続として解釈したいです)。

 これは完全に個人的なツボなのですが、最初のアームの形が、1シーズン前のショートプログラムの『Let’s Go Crazy』のプリンスのシンボルマークを思わせます。「プリンス マーク」で検索をかけていただくと、この思いを共有してくださる方がいるでしょうか。

 ■今度は左足で、異なったターンを踏み続けるのですが、羽生本来の回転軸とは逆の、時計回りのツイズルから始まっている。