樋口、宮原が得た3枠をめぐり、来季の日本女子フィギュアは競争激化 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi能登直●撮影 photo by Noto Sunao

 ザギトワは勝ちを急いだのか、後半の3回転ルッツで転倒。次のダブルアクセル+3回転トーループもセカンドジャンプがダウングレードになって転倒。その次の3回転フリップからの3連続ジャンプは何とか耐えたものの、終盤のルッツに3回転ループをつけると、またしても転倒してしまったのだ。

 結局、ザギトワは五輪金メダリストらしからぬまさかのミスの連発で、4点減点という考えられない滑りとなった。演技後半に高難度ジャンプが連続するという、一度崩れたら立て直すのが難しい構成が裏目に出た格好で、合計207.72点と宮原を下回った。

 そんな五輪女王のミス連発後の不穏な空気は、最終滑走のコストナーにも伝染した。彼女もまた勝ちを意識しすぎたのか、最初のルッツが2回転になるミス。次の3回転フリップを成功させて立て直したかに見えたが、後半のダブルアクセルがパンクしてシングルになり、最後のサルコウは転倒して、ともに連続ジャンプにできなかった。

 その結果、コストナーはフリー128.61点、合計208.88点で4位。優勝はオズモンド、樋口が2位、宮原が3位という、予想外の結末になった。

 結果的に、5位になったザギトワとコストナーが大崩れしたことで舞い込んだ銀と銅ではあるが、「いつもどおりを心がけた」という樋口の攻めの滑りと、気持ちを切らすことなく、大きなミスはサルコウの転倒だけに抑えた宮原の粘り強さがあったからこそのダブル表彰台獲得だったといえる。

 今回、宮原がミスをしながらも210点を記録したのは、220点台中盤の力が確実についていることを証明したといえる。また、樋口は「来シーズンは絶対にトリプルアクセルを入れられるように練習をしていく」と、さらなる進化を決意している。

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