「靴」に苦しむ日本勢。世界選手権3枠ゲットへ、宇野昌磨も波乱含み (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao

「コンビネーションがほとんど点数の残らないジャンプになってしまい、『95点くらいか、もうちょいよければ90点台後半までいくかな』と思っていたので、ほぼ予想通りでした。

 ジャンプ(のレベル)を抑えた分、ちょっと気持ちは楽でしたね。最初の4回転トーループを跳んだ後も、『落ち着いてやればできる』と思っていたので。結果的にはその後で失敗してしまったんですけど(笑)、あまり練習ができていない中でも落ち着いて試合に臨めました」

SPの演技後には笑顔を見せる場面もSPの演技後には笑顔を見せる場面も 宇野以外の選手も五輪の直後で本調子とはいえないため、24日のフリーは順位に大きく変動があるかもしれない。

 ルッツとフリップの4回転をキッチリ決め、自己最高の96.78点で3位になったビンセント・ジョウ(アメリカ)は元気だったが、1位のチェンはルッツとフリップの4回転を決めたものの、ともにGOEではわずかに減点され、つなぎでも攻めていない印象だった。

 また、コリヤダもルッツを4回転から3回転に落とす"安全運転"での2位。95.85点で4位のボーヤン・ジン(中国)も、4回転ルッツ+3回転トーループは確実に決めながら、4回転トーループは回転不足になっている。

 そんな中で、5位からどこまで巻き返せるのか。宇野はフリーに向けた意気込みを力強く語った。

「最後まで元の構成(で演技をすること)を諦めたくないですね。こっちへ来てから公式練習はあまりしていないけど、靴を替えてからの練習は五輪の前よりしています。『もしかしたら明日よくなるかもしれない。明後日はもっとよくなるかもしれない』と諦めずにいきたいです。今日の試合も、今の状態ならもっとできたと思うので、もうちょっと無理できるんじゃないかなと」

 試合直前にスケート靴が壊れて新しくした影響もあるのか、少し動きが重く出遅れた田中もジャンプアップを狙う。また、自身初のSPで80点台となる82・61点を出した友野は、「連戦にはなるけど、(先週のプランタン杯で)シニアの国際試合に出たことが刺激になって、時差調整も楽になった」と、キレのある動きを見せているだけに期待が高まる。

 出場枠「3」獲得へ、宇野だけでなく友野か田中が順位を上げる必要はあるが、"黄信号"が灯りながらも日本にまだ希望は残っている。

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