「靴」に苦しむ日本勢。世界選手権
3枠ゲットへ、宇野昌磨も波乱含み

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao

 21日午前の公式練習では、1番目に曲かけ練習を行なったこともあって20分ほどでリンクから上がった。SP当日の6分間練習では最終滑走だったにもかかわらず、ダブルアクセルとサルコウ+トーループを跳び、その後はトリプルアクセル1本と4回転トーループを2本跳んだだけの軽めの練習にしていた。

 迎えた本番は32番滑走のミハイル・コリヤダ(ロシア)が100.08点を出し、34番滑走のネイサン・チェン(アメリカ)が101.94点を出したのを見てからの滑走だった。宇野は「4回転フリップを3回転サルコウ+3回転トーループにしたけど、完璧にやれば103点~105点は出る」と計算していたという。

 だが、3回転サルコウの着氷を乱し、少し間を置いて2回転トーループをつけたジャンプはコンビネーションと認められたが、GOE(出来栄え点)は1.40点の減点。得点は94.26点にとどまることになった。

「右足は朝の公式練習でも痛かったけど、周りの方のサポートもあって練習することができましたし、気持ちが高まっているからか、試合会場に入ってからは普通に歩くこともできました。でも、体が動いたからこそ、3回転サルコウは力が有り余って変なジャンプになってしまって、バランスを崩してしまった。結果論だけど、この状態で試合に挑めると事前にわかっていたら、もうちょっと難しい構成をやってもよかったのかなと思います」

 トリプルアクセルを跳んだ後のつなぎで、スケートが引っかかってよろけるアクシデントもあったが、宇野は「あれは左足だったのでケガには関係ないです。こっちへ来てからの練習が足りないという影響はあったかもしれないけど、なんともなかった」と淡々と振り返った。

 ジャンプは本調子にほど遠かったが、スピンとステップはすべてレベル4。全選手の中で唯一、演技構成点の5項目すべてを9点台に乗せて46・36点を記録している。技術点と合わせた94.26点という結果も、本人は納得しているようだった。

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