日本フィギュア、羽生欠場のなか
「来季の世界選手権」3枠獲得なるか

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 能登直/JMPA●撮影 photo by Noto Sunao/JMPA

 樋口には、昨季の世界選手権で調子を崩して11位に終わり、平昌五輪の枠取りに貢献できなかったという思いもある。五輪代表権を取れなかった悔しさに加え、枠取りに貢献できなかった昨季の雪辱を果たさなければいけないという強い思いを持って今大会に臨んでいるはずだ。樋口は2月24日までのチャレンジカップでも203.94点とまずまずの成績。それは、世界選手権へ向けて気持ちを切らさずにいる証(あかし)でもある。

 また、平昌でその力を存分に発揮した宮原も、昨季は全日本選手権3連覇を果たしながら、股関節の疲労骨折で世界選手権出場を辞退したという無念の思いもある。借りを返すためにも、今回はしっかり3枠取りに貢献しなければという決意があるはずだ。

 そんな日本勢に追い風となっているのは、負傷していた右足首の痛みが再発したメドベデワの欠場だ。ザギトワと並ぶ優勝候補の彼女がいないことで、単純計算で宮原と樋口の順位はひとつずつ上がる。ふたりの順位合計13位以内という3枠獲得の条件クリアに一歩近づく。

 日本勢との上位争いに割って入ってきそうな選手は、五輪優勝のザギトワと3位のオズモンド以外に、地元開催で力を発揮しそうなカロリーナ・コストナー(イタリア)だろう。また、平昌五輪ではSP12位と出遅れながらも、フリーで8位にまで順位を上げたマリア・ソツコワ(ロシア)も、自己ベストは216.28点。五輪では15位に沈んだガブリエル・デールマン(カナダ)も、昨季の世界選手権では214.15点を獲得して3位になった実力を持っており、いずれも上位進出の可能性は十分ある。

 それでも、宮原がきっちり滑り切ればメダル圏内に入るのは確実で、樋口もミスなく力を発揮すれば210点前後は計算できるだけに、他の選手が持ち点通りの滑りをしたとしても10位以上は確実だろう。そう考えれば、女子の3枠獲得は期待してよさそうだ。3枠獲得の戦いは、21日の女子SPから始まる。

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