宇野昌磨、あっけらかんと銀メダル。早くも「頂点への課題」を挙げる (2ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha photo by JMPA/Noto Sunao

 完璧な演技をした羽生のSPの演技を見た宇野はこう言っていた。

「僕もいい演技をして終えられたらなと思った。羽生結弦選手という大きな存在の後ろで、僕も精いっぱい頑張りたい」

 そのフリーで、宇野は果敢に大技に挑んだ。冒頭の4回転ループで転倒する失敗を犯したが、その後の演技には影響させずにしっかりと立ち直った。4回転フリップはきれいなジャンプでGOE1.57がつき、1.1倍がつく演技後半のトリプルアクセルでもGOE加点1.86点をマークした。フィニッシュポーズを決めると、笑顔で「うん!うん!」と頭を上下に振って頷いた。

 リンクサイドでは、幼少時からコーチ・振付師として宇野を支えてきた樋口美穂子コーチと抱き合った。フリー202.73点で、合計は306.90点。得点が出た瞬間、その樋口コーチは笑顔を見せながら、きょとんとした表情を見せていた宇野の背中に顔を押しつけて喜びを表していた。

 フリーでは全体的にジャンプの着氷に難があり、今ひとつ精彩を欠いたことで得点が伸び悩んだ。もし、4回転ループが成功し、ジャンプにGOE加点がもう少しついていたら、ジャンプに小さなミスがあった王者・羽生を逆転できていただけに、宇野にとっては惜しまれる。ただ、それは本人もわかっていたが、演技中に技術的な修正ができるほどの領域にはまだ到達していなかったことを痛感したようだ。

「最終滑走は嫌でしたが、全員の演技を見て、全員の点数を見て、自分がどんな演技をしたら、どんな点数でどんな順位にいくのかという計算をしていました(笑)。点数的に考えると、もしノーミスして完璧な演技をしたら1位になるという計算をしていましたけれども、最初の4回転ループを失敗した時点で笑いました!

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