羽生結弦と、宇野昌磨ら挑戦者との
金メダル争いは「ミス1回の差」

  • 折山淑美●取材・文 text by oriyama Toshimi
  • 坂本 清●撮影 photo by Sakamoto Kiyoshi

 さらに、ヨーロッパ選手権でシーズンベストの295.55点を出しているハビエル・フェルナンデス(スペイン)も、SPではフランス杯で107.86点、ヨーロッパ選手権で103.82点を出しているように、確実性はピカイチだ。4回転はサルコウとトーループの2種類だけだが、演技構成点では高得点を出すだけに、フリーもノーミスなら310点台後半を出す能力を持っている。

 これらの強豪に対して宇野も、昨季の世界選手権ではフリーの3回転ルッツで転倒しながらも319.31点を出したように、高い得点能力を持っている。平昌五輪のフリーではその転倒したルッツを使わず3回転ループにする構成で臨み、「ノーミスなら220点台」というレベルで本番に臨もうとしている。全員がノーミスの演技をすれば、チェンと宇野が220点台に乗せて一歩リードし、それにフェルナンデスが肉薄するという状況になり、上位が崩れればジンもメダル争いに加わってくることになるだろう。

 そんな挑戦者たちに対し、羽生結弦がどんな演技をするか。昨季の世界選手権での彼は、SPで連続ジャンプが認定されないミスをして98.39点。フリーでは、3種類4本の4回転を入れたプログラムをノーミスで滑って223.20を出し、合計321.59点を獲得して優勝している。

 平昌ではどのようなジャンプ構成でくるかは不明だが、4回転が3種類か2種類の構成でもノーミスの演技なら一歩リードする状態で、ミスがひとつならノーミスの宇野やチェンと接戦になるだろう。

 現時点での羽生の状況を考えれば、五輪本番はそんな戦いになる可能性が高い。ミスひとつが明暗を分ける、精神力の勝負になりそうだ。

◆坂本花織、四大陸フィギュア初Vが平昌五輪でメダル獲得への追い風に


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