本田真凜はなぜシニアデビューで
失速したのか。早くも迎えた正念場

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha  能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

全日本選手権では総合7位に終わった本田真凜全日本選手権では総合7位に終わった本田真凜 ジュニア時代に世界王者になるなどの実績を残して、鳴り物入りでのシニアデビュー。フィギュアスケート界で今季、誰よりもメディアの注目を浴びたのが本田真凜だった。テレビではフィギュア一家の一員として特番を組まれ、CMにも出演。周囲の期待は凄まじかったのではないか。

 本田本人は注目されることが好きなタイプ。それほど苦痛とは思わなかったかもしれないが、平昌五輪出場を目指していた16歳には相当のプレッシャーがかかっていたはずだ。

「オリンピック出場を目指して全力で頑張っていきたいです。シニアの世界がわからないので、自分がどういう演技ができて、どういう結果が出るかを楽しみにしています」

 初めてのシニアシーズンを迎えて、本田自身が一番ワクワクしていたに違いない。自分なりの自信を持って、年上のシニア勢を相手に挑戦者として戦うつもりだった。

 シーズン初戦となったUSインターナショナルクラシックでいきなり優勝。幸先のいいスタートを切ったが、このシニアでの初勝利が心に油断を生じさせたのかもしれない。ジュニアでの実績もあるだけに、もしかしたらこの調子でグランプリ(GP)シリーズ大会でも表彰台に上ることができるのではないか。本人がそう思ったとしても仕方がないし、周囲もそれを期待した。

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