宮原知子、坂本花織が今から1カ月でロシア勢に勝つために必要なこと (2ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha  能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 一方、世界女王のエフゲニア・メドベデワと世界ジュニア女王のアリーナ・ザギトワの得点を見ると、常に1.50点前後~2.00点近くのGOE加点が並ぶ。ジャンプ構成では互角の内容を跳んでいても、このGOEの点数の差が大きな勝負の分かれ目になっていることは言うまでもない。坂本、そして宮原が残り1カ月間にこの差をどれだけ詰めることができるか。それによってロシア勢に肉薄し、メダル争いに顔を出すチャンスが生まれるはずだ。

 全日本女王の宮原はこれまで、ジャンプの回転不足が課題だったが、体幹強化を図ってきた今季のジャンプは以前よりも力強さが増してきており、高さも出てきた。それだけに、緊張感のある試合で硬くならずに練習通りのジャンプを跳んで、回転不足を取られないことが必須だろう。

 ロシア勢に肉薄するための秘策としては、例えば基礎点が1.1倍になる演技後半にもう1本難易度の高いジャンプを組み込む、あるいは連続ジャンプを増やすといったことも考えられる。ただし、残り1カ月間でジャンプ構成を変更することは大きな賭けでもある。それを避けるなら、GOE加点を増やすために徹底してプログラムを滑り込み、完成度を上げてノーミス演技を目指すことが大事になる。

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