モヤモヤする宇野昌磨。羽生結弦のいない「追われる立場」が影響か (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi  能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 まだ挑戦者だと思い続けているからこそ出てくる、宇野の強さと勢い。その目標とする存在がいなくなった状態で力を出し切るというのは、彼が経験を重ねていくなかで解決していくべき課題でもあるが、今回はそれを特に問われているともいえる。

昨年は無良崇人に2.29点リードされたSPから、フリーではミスを出しながらも192.36点を獲得し、無良が崩れたこともあって2位に30点以上の大差をつけて圧勝した。その時の88.05点と比べれば、今回は大きな得点源となる連続ジャンプでミスをしながらも96点台。その分だけ地力はアップしているということだ。それをフリーではどうのように見せてくれるのか。自己最高の214点だ台をだ出せば、300点超えも実現できる状況だ。フリーではそれを果たして"宇野昌磨の力"を見せつけてほしい。

 一方、注目の平昌五輪3枠目の争いは、ゲイリー・ムーアの『ザ・プロフェット』をキレのある滑りで伸びやかに演技した田中が一歩リードする状況になった。4回転サルコウは着氷がわずかに乱れてGOE(出来ばえ点)加点は0.09点に止まったが、他の3回転フリップ+3回転トーループとトリプルアクセルは1.40点と1.86点の加点をもらう。ステップも粗さはあったが、情熱を込めた滑りをしていた。

 今季は苦しい戦いを続けていた無良は、最初の4回転トーループが「跳び上がりの瞬間の動作のタイミングが合わなかった」と着氷を乱して連続ジャンプにできず。後半の3回転ルッツに3回転トーループをつけた連続ジャンプでも減点されたが、ステップはしっかり音をとらえる滑りで85.53点を獲得して、まだ田中を射程圏内には置いている状態だ。

 80.99点の村上大介と78.16点の友野一希は少し出遅れた形になり、平昌五輪代表を懸けた勝負の場をフリーに移すことになった。

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