宇野昌磨は2位に後悔なし。
羽生不在のGPファイナルで収穫ザクザク

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 しかし、後半になると自信を持っている4回転トーループで着氷を乱して連続ジャンプにできなかったうえに、2本目はダウングレードと痛恨のミス。最後の3回転サルコウ+3回転トーループも「前のトーループの回転数がわからなかったので、ここで3回転をつけたらキックアウト(で減点に)になると勘違いした」と、コンビネーションをつけずに単発のジャンプにしてしまった。

 結果は、184.50点でフリー1位にはなったが、合計286.01点でチェンに0.50点及ばない2位。ジャンプ自体は「余裕があった」という3回転サルコウに3回転トーループをつけておけば......と悔やまれる2位だが、宇野は「晴々とした気持ち」と笑顔を見せた。「フランスの大会がとてもきつかったから、今回は自分の演技をしたいとすごく思っていて。だから試合がすごく楽しかったので、後悔はないです」と言う。

 インフルエンザに罹患(りかん)したため練習がほとんどできずに臨んだフランス大会とは違い、今回は地元、名古屋での開催ということもあって準備は万全だった。

「今回は本当にやることをやってきて、もうこれ以上どうしようもないという状態でした。失敗したことに関してはいろいろ理由があると思いますけど......。たとえば4回転トーループの失敗にしても、リンクに上がって前の選手の得点が出るのを待っている間にトリプルアクセルを跳びましたけど、あそこで、たとえ失敗しても4回転トーループを跳んでおけばよかったかな、とも思います。6分間練習ですごく調子がよかったからこそ、それをやっておけばよかったんですね。

 練習でも最初の1、2本はああいう失敗をするので、あれは本当に試合直前の調整ミス。それは次から生かせばいい。最後の3回転サルコウにコンビネーションをつけなかったというのも、いっぱいいっぱいになっていて頭が回らなかったとか、できなかったことがすごく明確にわかっている。だから『もっとできた』と思うのではなく、『やることはやった。次は頑張ろう』という気持ちになっている」

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