佐藤信夫氏・久美子氏(元浅田真央コーチ)に聞く「復帰から現役引退まで」 (5ページ目)

  • 辛仁夏●構成 text by Synn Yinha  岸本勉●写真 photo by Kishimoto Tsutomu

信夫「もっと頑張らなきゃいけないんじゃないか」と言うのは簡単ですけど、果たしてそれがいいのか悪いのか。言葉では語れない難しさというのがありました。

久美子 ひと言で痛みといっても、それがどのくらい痛いのか、それこそ親子でもわからないじゃないですか。我慢強い子もいれば、痛みに弱い子もいる。それでも本人は何とか頑張ろう、頑張ろうとしているから、「今日はこれぐらいにしておいたほうがいいんじゃないの?」というようなことを言いながらも、いや、もうちょっといけるかなと思ったり。真央ちゃんはもちろんですが、私たちにも葛藤がありました。

 この2シーズンに関していえば、2人は競技に戻ってきた浅田を見守ることに徹していたという。浅田のペースに合わせ、任せて。休養前の関係とは違う伴走者となっていたのかもしれない。昨年の全日本選手権で惨敗した後はあえてほとんど連絡を取らなかったと言う。4カ月後、浅田から直接「終わりにします」と告げられると、佐藤信夫コーチは「来るべきときが来た。すごい功績を残した偉大な選手だった」と心境を語った。


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