佐藤信夫氏・久美子氏(元浅田真央コーチ)に聞く「復帰から現役引退まで」

  • 辛仁夏●構成 text by Synn Yinha  岸本勉●写真 photo by Kishimoto Tsutomu

連載・佐藤信夫コーチの「教え、教えられ」特別編(後編)

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 半世紀にわたってフィギュアスケート界を牽引し、数々の名スケーターを育ててきた2人。バンクーバー五輪後は浅田真央に寄り添い、ともに闘ってきたのはご存知のとおりだ。だが浅田真央も昨シーズンはケガに苦しみ、そして現役引退発表のときを迎えた。あらためて指導者としての喜びと苦しみの日々を振り返ってもらった。

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2016年の世界選手権(ボストン)にて。浅田真央は7位だった2016年の世界選手権(ボストン)にて。浅田真央は7位だった――真央さんがソチ五輪後に休養して1年後に復帰すると、信夫コーチは「いったん休養してまた競技生活に戻る選手を指導するのは初めて。どんなふうに身体的に変化があるのか我々も未知だし、何をやればいいのか見当がつかない」とおっしゃっていました。

佐藤信夫(以下、信夫) やはりとてつもなく難しいことでした。他のスポーツでも、若い選手ならケガをして2カ月休んでもすぐ復活して戦えるけれど、ある年齢を超えると、ケガをしたらどんどん引きずっていくということがありますね。同じことが起こるんだなと感じました。

佐藤久美子(以下、久美子) 今の若い選手たちは、育っていく段階で、専用リンクができてトレーニングするジムが併設されていたり、ダンスのレッスンを受けられたり、ずいぶん環境が整ってきました。でもそういう環境が整備されてきたのは、真央ちゃんが大きくなってから。むしろ真央ちゃんの影響があったからでしょう。

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