浅田真央を見守ってきた佐藤信夫コーチが語る「スパイラルの魅力」 (4ページ目)

  • 辛仁夏●構成 text by Synn Yinha  岸本勉●写真 photo by Kishimoto Tsutomu

 逆に身体が硬い男の子なんかは大変なんです。最初はフリーレッグが腰あたりまで上がらない。ペアをやっている男性なんかも、筋肉が邪魔してなかなか大変なのではないでしょうか。

 さきほど難しい技ではないと言いましたが、では誰がやっても同じかというと、そうではありません。重要なのは、音楽とどうマッチさせてスパイラルという技を使っているかです。僕はあくまでも、その技が難しいのか、簡単なのかではなくて、そのポジションはいま表現しようとしている音楽との関係性がどうなのか、ということに尽きるだろうと思っています。そのあたりはあくまでも総合的に判断していただかないといけません。

 例えばミシェル・クワンのスパイラルはどこがすばらしいのか。プログラムの中で音楽を表現するときに、やっぱりあのスピード、あのシャープさ、それらの流れというものが人の心に沁み込んでいくわけです。だから全く同じことをやっても、「素敵だな」と思って見られる人と、「ああ、こんなことやっているんだ」という程度で終わってしまう人がいる。差はいっぱいあるのですが、それが「何点に匹敵するものです」ということは言えません。

 ジャンプのように能力の限界を超えようとしている技とは、スパイラルはやはり違います。新採点システムの導入後、スパイラルのような要素をやっているわけには、なかなかいかなくなりました。理由は、ほとんど点数にならないからです。

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