羽生結弦は新SPを連発。アイスショーから見るスケーターたちの来季 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登直/Fantsy on Ice 2017●撮影

 羽生は、2014年ソチ五輪の翌シーズンから2シーズン使っていた、バラード第1番を再びSPに選んだ理由を、「この3年間があった今だからこそできる、バラード第1番をやりたいなと考えたんです。僕は、歌手のライブのように1回1回違う演技ができるタイプだと思うので、そういう違いを大事にする演技をしたい」と明かしている。

 昨シーズン、『レッツゴー・クレイジー』では一度もノーミスの演技ができず、シーズン最後の世界国別対抗戦では、「完全に苦手意識が生まれ始めていると思う」と話していた。昨シーズンのSPは夏場の練習であらかた完成したこともあり、自分の理想の演技と実際の演技とのギャップに苦しむ1年になってしまったのかもしれない。

 そのため、新シーズンのSP『バラード第1番ト短調』は、昨シーズンのフリー『ホープ&レガシー』のように、あえてコンセプトを作らず「その時の自分が思うがまま、感じるがままの演技をしたい」と羽生は語る。目の前にある要素に集中して演技を重ねることで、自分の感情をあるがままに出し切れるような滑りを目指していくようだ。

 ファンタジー・オン・アイスでは、会場ごとにリンクのサイズや氷のコンディションを見て跳ぶ位置を選んでいたジャンプも、これから競技サイズの広いリンクでの練習を積み重ねることで、ショーバージョンから競技バージョンへと進化させていくだろう。アイスショーでの演技は、羽生のさらなる飛躍を大いに期待させるものだった。

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