羽生結弦が手応えをつかんだ来季の武器は4回転5本か、それとも... (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 能登直●撮影 photo by Noto Sunao

 最後に挑んだトリプルアクセルはパンクして1回転半になったが、「いちばん難しいことを」と思うことでの力みもあったのだろう。それでも羽生は「パーフェクトな演技を考えれば、前半の4回転サルコウが抜けなければ、最後にトリプルアクセルを入れることができないので。その意味ではその練習はしていなかったからこそ、ちょっと疲れが出てしまったのかなと思っています。試合ではありますけど、いいトレーニングにもなりました」と、シーズン最後の演技に納得の表情を浮かべた。

 前日のショートプログラム(SP)は、羽生にとっては想像外のミスが出る演技になってしまった。最初の4回転ループはパンクして1回転になり、次の4回転サルコウは着氷で手を突いて連続ジャンプにできず、83.51点の7位。最初のジャンプをふたつともミスしたのは、今季2戦目のスケートカナダ以来だったが、公式練習からの好調さを考えれば信じられない結果だった。

 SPが終わったあとは最初の4回転ループのパンクの残像が脳裏に焼きつき、ベッドに入っても「それが頭の中に浮かんでくるたびに目が覚めてしまい寝られなかった」と言う羽生。そこで決意をしたのは、公式練習でもやっていた4回転トーループ+1回転ループ+3回転サルコウを入れて4回転5本の構成にするということだった。

 そんな思いを持って臨んだフリー。最初の4回転ループは丁寧に跳んでGOE(出来ばえ点)2.57点をもらう滑り出し。だが、次の4回転サルコウはパンクして1回転。次のコンビネーションスピンから立て直したが、ステップはいつもよりややキレのない滑りで、少し体が重いように見えた。

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