ジャンプは美しく跳ぶ。羽生結弦の強さを支える「出来栄え点」の威力 (3ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao

 さらに、羽生が世界選手権のフリーの後で「トリプルアクセル+2回転トーループの後で感触がよければ、次の(3連続ジャンプの最初の)トリプルアクセルを4回転トーループにしようかとも考えていた」と振り返っていたように、得点を伸ばす要素はまだ残っている。可能性を挙げればキリがないが、羽生のGOEの高さが、他の選手と比べて大きな武器になっていることは間違いない。

 昨年の世界選手権フリーでハビエル・フェルナンデス(スペイン)が当時歴代2位の記録(216.41点)を出した際には、4回転はサルコウが2本でトーループが1本、トリプルアクセル2本という構成で合計23.32点の加点。また、昨年の四大陸選手権で203・99点を出したパトリック・チャン(カナダ)は、4回転トーループを前半に2本、トリプルアクセルを前半と後半に1本ずつ入れる構成でGOE合計21.18点を獲得している。

今年の世界選手権で、羽生が得たGOE加点の合計は22.69点だったが、4本入れた4回転ジャンプのうち2本を後半に跳び、トリプルアクセルを2本とも連続ジャンプにするなど、極めて難しい構成でそのGOE加点を出しているところが特筆すべき点だ。

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